親方
下地の悪い環境でも綺麗に仕上げる技術を紹介します
「壁紙の貼替えに薄い材料は向きません」
「建物が振動し、下地が動くので壁紙に亀裂が出来ます」
こんな話を聞いたことはないでしょうか?
壁紙を下地へ直貼りするとこのような事が起こり得ますが、下地の影響を受けない「袋貼り」で施工すれば問題ありません。
要するに、下地の影響を受けない為の下地が「袋貼り」という事になります。
ただし、袋貼りには時間や資材費がかかるので、一般的な壁紙費用より高くなるのは否めません。
それでも…
- 壁紙の張り替えで薄い材料が使いたい
- 揺れる建物での壁紙施工方法を知りたい
- 壁紙の破れや割れを防ぎたい
このような方には価値があるのではないでしょうか。
という事で、この記事では「壁紙の袋貼り」について紹介したいと思います。
壁紙の袋貼り
袋貼りで知られているのは「襖」ではないでしょうか。
襖を見れば分かるのですが、仕上りが綺麗で、下地の影響はまったくありませんよね?
理由は、襖を袋貼りで貼っているからなのですが…襖紙は壁紙(クロス)よりも薄く、その違いを比べてみると一目瞭然です。
つまり、袋貼りで壁紙を貼れば、襖よりも下地の影響を受けないと言えます。
そんな袋貼りを壁紙(クロス)の下地に使う場合、2種類の方法が考えられます。
- 目張り
- ベタ張り
この2つですが、ひとつずつ順番に説明します。
袋貼り①:目張り
目張りは、プラスターボードや合板の継ぎ目(ジョイント)に和紙などを貼り付ける方法です。
目張りを使う場面はと言うと
- 建物が振動してパテが割れるとき
- 合板下地の伸縮でパテが割れるとき
このように、パテが割れて壁紙表面に影響が出そうな場面で使います。
目張りの手順
目張りに使う紙は「ジョイントテープ」や「くいさきテープ」のようなジョイント補強テープで充分です。
このジョイントテープをパテ完成後に下地の継ぎ目(ジョイント)に貼り付けます
パテが割れそうな状況か確認する
目張りする前にパテを仕上げ、研磨処理(サンダー)まで終わらせます。
下地の継ぎ目(ジョイント)の上を目張りします。
パテの割れが懸念される場合には、ぜひ「目張り」をお試しください。
それでは、次の技法「ベタ張り」を紹介します
袋貼り②:ベタ張り
ベタ張りは「クラフト紙」や「茶ちり紙」などを壁全体に貼り付ける手法です。
ベタ張りを使う場面はと言うと、下地が悪い場所に「和紙などの薄い材料」を使う時に重宝します。
たとえば、壁紙の貼替えにはかなり有効です。
そんなベタ張りのポイントは2つです。
- クラフト紙はくいさきの紙がおすすめ
- 糊付けは周りに濃い糊を使い、中は薄い糊を使う
くいさきの紙を使う理由は、ベタ張りによる壁紙の凹凸を防ぐ目的があります。
このようなクラフト紙を定規でカットすれば「くいさき」になります。
このように定規を使い…
クラフト紙の四方を定規でカットすれば完成です。
カットが面倒なら、カットもので販売されている「茶ちり」でもいいと思います。
一方、糊を使い分ける理由はと言うと、下地に「袋貼り状態」を作るためです。
ですので、中に使う糊は水でも構わないと思います。
画像で見るとこんな感じです。
それでは、ベタ張りの手順を説明します。
ベタ張りの手順
目張りと同じようにパテを仕上げてからベタ張りします。
下地全面にクラフト紙を貼っていきます。
貼り方は「重ね張り」です。
重ねながら貼らないと「袋貼り」になりません。
この手法がベタ張りですが、ご覧のように結構な労力が必要です。
これでも下地が気になるようなら、もう1枚クラフト紙を重ねる本来の袋貼りが必要です。
袋貼り下地へ壁紙を貼る方法
袋貼り下地の上に壁紙(クロス)を貼る上で問題になるのが継ぎ目(ジョイント)処理です。
カッターを使う重ね切り(合断ち)では、せっかくの袋貼りまで切ってしまいますので、基本的には突き付けで壁紙を貼ります。
ただ、ジョイント部分の補強が必要な場合は「ジョイントベタ」と呼ばれる手法が必要です。
ジョイントベタとは壁紙のジョイントが来る部分へ、クラフト紙を重ねて追加する方法です。
ジョイントベタで使うクラフト紙の幅は「20cm~30cm」でOKです。
ジョイントベタをすることで、引っ張りによる破れや目隙きが抑えられます。
まとめ
最後までご覧いただきありがとうございます。
今回は「壁紙下地で重宝する袋貼り」について紹介しました。
使う場面はそれほど多くないと思いますし、施工料金も高くつきますので覚えておく程度で良いと思います。
ちなみに、私の場合ですが、施工料金は通常単価の倍ほど頂いています。
結構な手間もかかりますし、技術力も必要なので妥当ではないでしょうか。
ということで、この記事は以上です。
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