親方
織物壁紙を貼る方法ご存知ですか?
今回の記事では織物壁紙の施工方法を紹介したいと思います。
ビニールクロスの普及によって「織物壁紙」の施工機会が少なくなってきました。
織物壁紙以外の名称では「布クロス」なんて呼ばれ方もしています。
そんな織物壁紙は、若いクロス職人さんなんかでは「触ったことない」という人もいるのではないでしょうか。
とは言え、ポイントを抑えることで「織物壁紙でも問題なく」施工することが出来ますので解説したいと思います。
織物壁紙・布クロスの施工方法
織物壁紙の施工方法には5つの大事なポイントがあります。
- 糊について
- オープンタイム
- 刷毛の使い方
- ジョイント(継ぎ目)
- 汚さない
これ以外にもまだありますが、この5つが特に大切です。
順番に見ていきます。
糊について
織物壁紙の場合では「糊」が重要なポイントになります。
そんな糊のポイントは下記の通りです。
- 濃い糊を多めに塗布する
- 折りジワが取れないので強く畳まない
糊の塗布量はある程度の経験が必要ですが、まったく分からないという時には、自分が思っているよりも糊の量を「多め」に塗布してください。
また、壁紙を強く折ってしまうと織物壁紙に「シワ」が残ってしまいます。
一度シワが出来てしまうと、元に戻りませんので十分注意してください。
オープンタイム
織物壁紙のオープンタイムは、季節や室温にもよりますが「5分~10分」位が目安です。
また、オープンタイム後には1%くらいの伸びがある材料もありますので、割り付けや墨出しの際には「あらかじめ糊を塗布し、オープンタイムを取って伸びた織物壁紙のサイズ」を確認すると失敗しません。
そして、繰り返しですが「糊は多めに塗布」してください。
糊の塗布量が少ないと「アイハギ」を起こしてしまいます。
ですので、織物壁紙に糊を塗布したら「壁に貼り付けた状態でオープンタイムを取る」と良いでしょう。
参考図のように、壁に貼付けておけば「折りジワ」も防止できるのでお勧めです。
刷毛の使い方
刷毛は横方向に使わず「上下に撫ぜるよう」使ってください。
また、毛足の長い柔らかい刷毛を使い織物壁紙が毛羽立たない気遣いも大切です。
ジョイント(継ぎ目)
織物壁紙は「突き付け」で貼ることを推奨します。
理由はというと
- 重ね断ちでは下地を傷つける
- 重ね断ちでは織物がほつれる
- 織物の繊維がカッターに引っ張られ、柄がゆがむ
この辺りが考えられます。
ですので、ジョイントは「突き付け」で施工してください。
柄がある織物壁紙の場合は、糊付け前に裁断(ジョイントもカット)すると綺麗に収まります。
また、ジョイントのおさめ方はハンドローラを強くかけず「手を使って」突き合わせて施工します。
ハンドローラーでの押さえが強すぎると、織物がつぶれて光ってしまう事もありますので注意が必要です。
汚さない
織物壁紙に手垢やホコリなどの汚れが付着してしまうと「綺麗に洗浄」するのが困難です。
要するに、織物壁紙は汚れが取れません。
ですので、作業環境を綺麗に保ちつつ、綺麗な手で施工する必要があります。
また、壁紙表面に糊が付かないように注意してください。
もし、汚れてしまっても「ゴシゴシ」といった強い水拭きは禁物です。
理由として
- 変色してしまう
- 光ってしまう
- 繊維がほつれてしまう
この辺りが起こってしまいます。
なので、汚れが酷い場合は張り替えるしかありません。
織物壁紙施工の注意点
あなたがクロス職人なら、前章で紹介したポイントをしっかり守りさえすれば「織物壁紙・布クロス」だろうと問題なく施工できると思います。
しかし、数点だけ施工の注意点がありますので、もうしばらくお付き合いください。
割り付けをしっかり
織物クロスでも丁寧に突き合わせることでジョイントが目立つことはありませんが、材料によっては中央と端で色が合わないことも多々あります。
要するに、ジョイントが目立ってしまう可能性もあるという事です。
ですので、割り付けはキチンとするよう心がけてください。
壁紙の割り付けについては関連記事をどうぞ。
【割り付け】壁紙を美しく貼るために知っておきたい墨出しの方法また、小さい巾を繋ぐときは、材料の端と端を使う工夫も重要です。
コーキングは内に入れる
織物壁紙の施工では、原則としてコーキングを使いませんが、経年での材料のカールや、隙間を防止する目的でコーキングを使う場合は「材料内側」にコーキングを使ってください。
コーキングを織物壁紙の表面に使うと、コーキングが散って汚してしまいますし、織物繊維がコーキングを吸い込み変色してしまいます。
大事なので繰り返しますが、コーキングは壁紙の内側に使います。
ジョイントがほつれたら鋭利な刃先で押し込む
織物壁紙のジョイントは繊細でほつれやすいのですが、もし、ジョイントがほつれてしまっても慌てることはありません。
このように「刃先が尖った皮スキ」などを使い、織物壁紙のほつれを「ジョイント部分に押し込むように処理」すると綺麗に収まります。
まとめ
最後までご覧いただきありがとうございます。
この記事では「織物壁紙の施工方法」を紹介しました。
織物は貼ったことがないというクロス屋さんでも、記事の中で紹介したポイントさえ気を付ければ、問題なく綺麗に貼れると思います。
また、今でこそ「織物壁紙・布クロス」の需要は少なくなっていますが、今後もそうだとは限りません。
要するに、織物壁紙は、クロス屋さんなら避けて通ることはできない素材だと思いますので、施工するチャンスがあったら断らずにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
という事でこの記事は以上です。
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