親方
この記事は、クロス屋さんに向けた「クロスを貼るスピード」のお話です
30年もこの世界にいると、色んなクロス職人さんと知り合います。
そんなクロス屋さん達との話題で盛り上がるのが「作業スピード」。
確かに、クロスを貼るスピードは収入に直結しますので、遅いよりは早い方が良いですよね。
ちなみに、私の最高記録は、「1日で440m」です。
勿論、乗り込みから撤収まで、つまり、パテから貼り終わりまで全ての作業を1日で完成させました。
内容はこんな感じです
- 新築アパート
- 量産織物調
- 早朝5時~深夜2時まで作業
- クレーム・苦情は一切無し
- 28歳伸び盛り
- 翌日ぐったり
まあ、いま思えば2度と経験したくありませんが、いい思い出になっています。
という事でこの記事では「クロスを貼るスピード」に興味がある方にお話ししたいと思います。
クロスを貼るスピードを上げるには
話しの前に結論を書きます。
ある程度の年齢になると気付きますが、スピードは意味ないです。
ですが、「いま伸び盛りの方」や、「親方、兄弟子に早くなったな」と褒められたい方もいるでしょうし、「早くなって収入を上げたい」と言う方もいますので、どうすれば早くなるか書いていきます。
スピードを付けるには段取りが肝心
クロスを貼るスピードが速くなるために1番大切なことは「段取り」です。
早い人は漏れなく段取りが良いですね。
段取りとは、次に何をするか予測しながら行動することですが、もっと分かりやすく具体的に説明します。
例えば、「パテ」
パテは2回でOKと言う人もいれば、3回必要だと言う人もいますので、結局正解が分からない人もいるのではないでしょうか?
正解を言います。
「パテは下地を平滑に出来れば何回でもOKです」
つまり、下地が目立たない事や、段差が解消されていれば例え1回でも良いんです。
パテの意味は下地調整ですので、クロスを貼って下地が目立たないなら何回でもOKですよね?
これは非常に論理的な考え方だと言えます。
しかし、どんな現場でも3回、4回と丁寧にパテをするクロス屋さんもいます。
勿論、綺麗にパテをする事は最高ですが、必要以上のパテにはそれほど意味がありません。
ただ、貼替時の事を見越してパテをしているなら話は別です。
「アッパレ」と言いたいです。
ちなみに、段取りの良い人は「厚みのある量産クロス」を貼るより、「不燃などの薄いクロス」を貼る方がパテに時間がかかります。
要するに、パテの前に仕上げ材をチェックしてるという事です。
これが「段取」りです。
未来を予測しながら今の行動を決めれば、大抵の場合で思った通りに物事は進みます。
なので、スピードを付けたい方は「次の行動」を予測しながら作業することをお勧めします。
足場を作ると作業が早い
やったことがないという方は、ぜひ試してほしいのですが、「脚立1本」で作業せず「足場」を作ってください。
要約すると、スライドステージで足場を作り、上の作業を先行する方法です。
糊が乾かない範囲で数枚ほどクロスの上だけ貼って、後から下を貼り進める方法はポピュラーですがかなり早いです。
結局、脚立への上り下りに掛かる時間が大幅にカットされますので、作業時間も短縮されます。
いちいち足場を掛けるのが面倒だと言わず試してください。
ちなみに、一旦、足場に上ったら、下りなくていいよう「バケツ」や「材料」も足場上にセットすることをお忘れなく。
幅の広い刷毛を使う
ところで、クロスは何回刷いていますか?
3回で刷けば無駄な動きを解消できます。
つまり、クロスの幅はほとんど90cmなので、30cm(11寸)以上の幅がある刷毛を使えば3回で刷けます。
刷毛の回数は細かいことのように感じるかも知れませんが、小さなことの繰り返しがスピードを生みます。
基本から外れない
いくらクロスを早く貼ると言っても「基本」を省く手抜きは厳禁です。
なぜなら、あなたのお客さんはスピードは求めていません。
つまり、早く貼りたいのは「あなただけ」なので、いくら早くても仕事が粗ければ、お客さんは一切喜びませんよね?
もしかするとスピードを求めるあまり、いつの間にか「早いけど荒い」というレッテルが張られて仕事が減ってしまう可能性さえあります。
なので、基本は必須です。
- ジョイント
- 枠まわりの切り口
- 糊の拭き残し
- 片付け
この辺りは特に注意が必要です。
要するに、やるべき作業は変わらないので「いかに余計な動きを減らすかの段取り次第」という事になります。
ぶっちゃけ、早い人の特徴は、「誰よりも頭を使ってる」ということです。
遅いなら残業は必須
「どんなに頑張っても遅い」と言う人は、時間で解決することも必要です。
例えば、早い人が1日100m貼るなら、あなたも「100m貼るまでは絶対に帰らない」と決めてしまえば実質的なスピードの差はありません。
1日は1日ですので、時間でカバーすることも可能です。
まとめ
今回は、クロスを早く貼る方法を記事にしました。
とはいえ、1年間、3年間、10年間というスパンで見れば「スピード」なんてそれほど意味はありません。
「ウサギと亀」ではありませんが、どれだけクロス貼りが早くても、早い人より長くクロス屋を続ければ「追いつき追い越す」ことはできますので。
という事でこの記事は以上です。
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